世界にはマリモの生息地はほかにもありますが、きれいな球体のマリモが生息するのは阿寒湖だけです。

阿寒湖にはおよそ6億個のマリモが生息しているそうですが、それが湖のチュウルイ湾という限られた場所に集まっています。
下の写真を見ると、もともとあった大きな湖の真ん中で雄阿寒岳が噴火し、湖を分断した様子がわかります。
中央の雄阿寒岳の左が阿寒湖で、雄阿寒岳の左上がマリモの生息地のチュウルイ湾です。ちなみに雄阿寒岳の右側の小さい湖はパンケトーとペンケトーです。

マリモは光合成するため、転がらないと均等に育つことができず球体にはなりません。通常の環境だと噴火でできたカルデラ湖は円形なので1カ所にとどまらずに移動し、深い所に行ってしまい日光が届かず育ちません。
しかし阿寒湖は上の写真のように形が複雑です。しかもチュウルイ湾あたりは水深が2m程度なので日光も届きやすく、マリモが育つのに好条件となりました。マリモは国の特別天然記念物に指定されています。

ところがそのマリモが温暖化による湖水温上昇の影響で35年前と比べて1cmほど表層の厚みが減り、痩せている可能性があると神戸大学や釧路市教育委員会などの研究グループが明らかにしました。下はそれを報じた11月4日の朝日新聞記事です。

記事によると、阿寒湖の冬の水温は約4℃で昔と変わらないものの、夏の最高水温は1988年8月8日が23.1℃だったのに対し、2021年は8月7日には27.6℃と4℃以上も高くなっています。さらにマリモの生息地に冷たい水を供給する河川が近年は生息地から少しずつ遠くなり、河川水が直接生息地に流れ込まなくなりつつあることも原因のひとつと考えられています。

このまま地球温暖化が進行すると、上の写真のような大きなマリモは育たなくなります。厚さがどんどん減少して壊れやすくなり、やがては絶滅することになるのかもしれません。素人の私は35年で1cmくらい…と思ってしまいますが長い目で見れば重大なことのようです。

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